矢吹健を称える会

狩人の夜の矢吹健を称える会のレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
4.4
 Blu-rayで鑑賞。画質の粗さが気になるが、改めて凄まじい珍作だと思った。その後、特典映像の『チャールズ・ロートンが「狩人の夜」を監督する (Charles Laughton Directs 'The Night of the Hunter')』を見る。本編よりも一時間以上長いこのドキュメンタリーは、チャールズ・ロートンの妻から提供されたという膨大なフィルムから構成されており、これがかなり面白い。この手のドキュメンタリー映画の中でも突出した内容なんじゃないかしら。

 多くのシーンが本編に沿ったシークエンスで再現されるのだが、本編と違うテイクが山ほど出てくる。それだけチャールズ・ロートンが本作に意気込んでいたということなのだろう。演出もかなり細かく、特にシェリー・ウィンタースに対して、時にはほとんど罵倒に近いコメントすらつけながら演技指導をしている。それに比べると、ロバート・ミッチャムに対しては、この映画を見る限り、ほとんど何も言っていない。セリフとちったりしてるのに。リリアン・ギッシュにすら結構いろいろ言っているので、やはり「ミッチ」は偉大という結論に至る(まあ、何か言ってもあんま変わらなさそうではあるが)。
 他にもあの有名な水中のシーンや、河のシーンがどう撮られたかなど、撮影についてのエピソードが多いのもうれしい。うさぎが合成というのは笑った。

 あと、Blu-rayに収録された本編は画角がヴィスタ(もともと意図された画角=intended ratioとのこと)だが、実際はスタンダード・サイズで撮影されており、はるかに画質が良い。やっぱりスタンダード版のほうがよかったのでは? とつい思ってしまう。