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ゴジラVSデストロイアのシネラーのレビュー・感想・評価

ゴジラVSデストロイア(1995年製作の映画)
4.0
"ゴジラ死す"
満を持して、VSシリーズの完結編となる
本作を再鑑賞。
初代『ゴジラ』から続く大河ドラマの
見事な締めくくりだと思う。

物語は、
自身の核エネルギーの暴走によって
核爆発の危険に瀕したゴジラが現れる中、
東京湾でかつてゴジラを葬った
オキシジェン・デストロイヤーによって
目覚めていたデストロイアも現れ、
人類の存亡をかけた最後の戦いを描く
内容となっている。
初代『ゴジラ』との関連性や
そのオマージュは嬉しい要素であり、
挿入される映像と相まって妙な現実味が
感じられた。
そして、最後まで自分達のエゴから
生み出してしまった怪獣達を利用する
人間側には、何とも言えなくなってしまう。
特撮に関しては、
本作の赤く発光する
"バーニングゴジラ"の圧倒的な実力は、
本当に鬼神のようで格好良い。
そして、そのゴジラの最期は、
昔も今も涙が出てしまう感動の場面だ。
当初、ゴジラとデストロイアの決着は、
しっかり互いの最期まで戦い合う
内容だったそうだが、
ゴジラの死に焦点を当てた劇中の内容
にしたのは英断だと思えた。
ゴジラとゴジラジュニアの交流も、
二体の生物感が出ているからこそ、
後の展開に怒りや悲しさを感じさせる
場面だった。
又、"VSビオランテ"以降で活躍
の薄かった人類側がスーパーXⅢを
はじめとする兵器で成果を挙げるのも
嬉しい部分ではあった。

気になる点としては、
冒頭のゴジラが香港を襲撃する場面で、
一般市民が普通に歩いている合成の
拙さは残念に感じられた。
又、デストロイアのその悪魔的な
デザインは好きな怪獣ではあるが、
いかんせん相手のゴジラが最強なだけに
弱く見受けられてしまうのは残念だ。
人間ドラマにおいても、
主要人物である伊集院博士(辰巳琢郎)が
作ったミクロオキシジェンの下りが、
あまり物語に絡んでおらず、
ゴジラの危機とデストロイアの危機も
微妙に噛み合っていないと思えてしまった。

人間ドラマ部分での無駄な部分や
デストロイアの描写不足は否めないが、
ゴジラ映画としては紛れもない秀作であり、
ゴジラの終焉とその新たな始まりを
描いたラストは素晴らしいと思う。
一時代を築いたシリーズのラストとして
申し分ない映画だった。
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