おーたむ

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のおーたむのレビュー・感想・評価

4.2
シリーズ3作目。
こちらも鑑賞済みでした。
今になって、「アルフォンソ・キュアロン監督だったのか」とか、「シリウスはゲイリー・オールドマンがやってたんだな」とか気づいて、驚いてます。

私が本作で面白かったところは、真実が提示されることで180度反転する敵味方の構図と、魔法道具による“時間いじり”ですね。
前者については、「シリウス・ブラックが本当はどちら側か」についての真相が明らかになると同時に、いろんな物事の見え方がひっくり返るという、鮮やかな展開が気持ちいいです。
ついにシリウスがその姿を現し、その直後に彼がルーピン先生と抱擁を交わすのを見て驚愕し、しかしさらにその後、ピーター・ペティグリューの化けの皮が剥がされたときには喝采し…と、最初にこのシーンを見たときは、かなり忙しく心持ちが変化したのを覚えています。
「加害者→被害者」のシリウス、「被害者→加害者」のペティグリュー、「良い人→裏切り者→良い人」のルーピン先生と、三者三様に立場の変わり方が違うというあたりも、上手いし面白いです。
死んだはずのペティグリューの名が忍びの地図を移動することで、彼の生存が発覚するというくだりも、ぞくぞくしたし、シリウス・ブラック関連のシーンは、全体に良かったです。

後者の時間いじりについては、ファンタジーやSFにおいては伝家の宝刀とも言うべき仕掛けですが、それでも、上手く使うとナイスな効果を発揮してくれます。
本作の場合、「果たすべきミッション」と「伏線回収」という、定番ながら盛り上がる時間いじりの使い方で、終盤が手堅く盛り上がりましたよね。
「どの授業にもいつの間にか参加しているハーマイオニー」という、一見どうでもいいような小ネタが、実は時間いじり自体の大きな伏線になってる…というところも、やはり上手いし面白い。
なかなかの見ごたえがある作品だったと思います。

そうそう、我らがマルフォイの勇姿が存分に堪能できるというのも、本作の大きな見どころになってました。
ハリーの活躍を妬んでイキってみせたせいでケガ(軽傷)を負い、死ぬだのパパに言いつけるだの泣き言を言うところから始まり、中盤には、ロン&ハーマイオニーにちょっかい出したところを、見事にハリーから返り討ちに。
挙げ句、最後には、特に身体能力が高いわけでもないハーマイオニーに、脅され殴られてエスケープをかますという、抜群の締めを見せてくれました。
この絶妙な小物感。
不憫ながらも笑いを誘う、ナイスな個性のキャラクターです。
やや暗めのトーンで進む本作にあっては、良い癒しでした。
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