とびん

うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバーのとびんのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

うる星やつら劇場版第四作。
今回は、意識化された友引町が地球の異端者ラムを追い出そうとするファンタジーに輪をかけたシナリオとなっている。

結論をいうと、よくわからなかった。
話が難解すぎる。
結局、ラムが友引町に戻ってきたことで、『うる星やつら』は日常に戻る。
アニメ的で不変的な日常。永遠に続くループする日常。
ラムがいなくなることで、永遠は崩壊し、日常はラムがいなかったときのように、動き始める。
そして、あたる達はラムを取り戻すことで、文字通り永遠を取り戻すのだった……。

ということなんだが……。
これって、うる星やつら2のビューティフルドリーマーで描いたことなのではなかろうか。
これを高橋留美子が嫌ったがゆえに、やまざきかずおが監督登板したのに、改めて同じようなことをやってどうすんのよ。

描いていることは、似ているが、結論が違った。
ビューティフルドリーマーでは、永遠に続いている日常の中で、あたるがラムだけを愛しているという結論に至った。
これは、正直あたるのキャラとそぐわない点が多い。
高橋留美子は、そういったキャラクターの相違を気にしたのだと思う。
一方、本作は、ラムがいなければ『うる星やつら』は成り立たないという帰結に至った。
終わり方が違うため、高橋留美子は怒らなかったと思うが、なぜ似たようなテーマを再度劇場化する必要があったのかがわからない。
どう描いても、ビューティフルドリーマーに、ひいては押井守に熱狂的なファンがいる以上、勝ち目はないと思うのだが……。

最後に、『FOR EVER』とFORの間に空白がある。
タイトル通り読めば、「永遠」といった意味だろうが、自分はそれだけではないと思う。
「FOR」は~のために、「EVER」はこれまでのといった意味がある。
助詞や前置詞の文法として間違っている等は置いといて、私はこれに意味があると思う。
これを訳すと、これまでのためにという意味となる。

これまでのためにラムがいる。
ないし、これからのためにラムがいる。

自分は、サザエさん的アニメを風刺した本映画と重ねた結果、上記のメッセージを感じた。

感じたけれど、やはり『うる星やつら』でそれを描写する意味はわからないなあ。
ビューティフルドリーマーの一件はなんだったのだろうか。

梅干を食べると酔っぱらうという原作の設定が出てきたよかった。
次作品で最後なので、走り切ります。
とびん

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