道人

デンジャラス・ランの道人のネタバレレビュー・内容・結末

デンジャラス・ラン(2012年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

【2012.09.08 劇場観賞(字幕)】

 昨晩は残業中に思い立って、社会人ダッシュこと“デンジャラス・ラン”を決めて(もうやめて! 私の足腰のライフはゼロよ!)、最終上映に滑り込み、『デンジャラス・ラン』を観てきました。

 事前情報ほとんど無しで観に行ったので、南アフリカが舞台ということすら知らなかったけど、ケープタウンを走り回るカーチェイスも迫力があり、面白かったです。しかしまぁ、ここまで心休まらない“ロード・ムービー”も珍しい(笑)。全編緊張感に満ちた作品でした。
 デンゼル・ワシントンで南アというと、中学生の頃に観て、本当に感動した『遠い夜明け』を思い出します。好きな俳優の一人ですが、劇場で観たのは『マーシャル・ロー』『ザ・ウォーカー』に続いて、本作が3作目。

 『トレーニング デイ』での悪徳警官役が鮮烈なデンゼル・ワシントン、今作でも“悪に染まった”元CIA工作員を魅力的に演じています。人を撃つシーンが、もうなんというか、「感情を殺して、“任務”として多くの人を殺したらこうなるのかな」という撃ち方。目つきにぞっとする。
 そんな怪物的なデンゼルに相対する新米CIA職員役にライアン・レイノルズ。『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』のデッドプールや『ブレイド3』のハンニバル・キングが印象に残っていますが、今作でもアクション頑張っていました。

 デンゼル演じる百戦錬磨のトビンとは違い、経験の浅いライアン演じるマット。任務途上で人を初めて射殺し、さらには自分の“腕”で“裏切り者”を絞め殺す。自分の腕の中でもがき苦しんだ跡、体温を失っていく敵…その時のマットの表情と、それを見守るトビンの表情が何とも言えません…。

 トビンとマットの最後のシーンがまた…。トビンは“心理戦の天才”という設定ですが、最後までマットの心を揺さぶります。最後の言葉は本心だったのか、あれさえも演技だったのか。彼の“遺産”を受け継ぎ、ある意味“呪い”をも受けたマットの今後が気になる、苦みのあるラストでした。
 セーフ・ハウス(CIAの“隠れ家”)という存在も初めて知ったなぁ。映画の原題も『Safe House』ですが、観終わった後、このタイトルが意味深に感じられます。スパイ稼業に安全で心休まる場所なんてないのだ…。 

 他のキャストも、味のある表情を見せてくれる俳優さんが揃ってます。CIA作戦本部副長官役のサム・シェパードが素敵おじいさま枠。マットの恋人役、アナ・モローも綺麗。事件に巻き込まれて憔悴しきった表情は痛々しかったですが。
 あとあと、トビンの旧友で凄腕の書類偽造屋役でルーベン・ブラデスが出演してますよ。個人的に、『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』でバンデラスやジョニデを抑えて一番格好よかった元警官ラミレス役の俳優さん! 今回もいい味出してます。

 パンフレット(600円)も堅実な出来。外交官に偽装したCIAの見破り方も載ってるよ!(笑)食事でステーキをごちそうしてくれる際、活動資金として経費で落とせるCIAはビフテキ、本物の外交官だったらチキンステーキなんだって。世知辛い見破り方だ…。
 
 
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