設計士あーさん

復活の日の設計士あーさんのネタバレレビュー・内容・結末

復活の日(1980年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

草刈正雄が、彼女の妊娠から目を反らし1人南極に行った時は本当に腹が立ったが、クリスマスの夜に彼女と子供を思って涙していた姿を見て、彼は彼なりに後悔していたのだと分かった。

きっと、帰国すれば何だかんだ彼女と赤ちゃんは自分を受け入れてくれるという甘えがどこかにあったのではないだろうか。だから船着き場で彼女の姿を見た時に、あんなヘラついた顔になれたのだろうと、随分身勝手な男だなと感じた。

彼がホワイトハウスに向かったのもきっと、帰る国も彼女も全てを失ったから、生き長らえる理由も特になく、人の為に自分は何かをしたという実感を探していたのだと思う。
少なくとも、ウイルスが撒かれなければ彼は率先して第一線に立つようには見えない。傍観者だと思う。

だからこそ、彼の奉仕の姿勢が鼻につかないのは、彼にもう何も残されていなかったからだと思う。

こんないい奴、フィクションにしかいねーよ。
そう思わせない、それがリアルだった。
現に彼は、決していい奴ではなかったし。

では彼の奉仕はエゴだけなのか?といえば半分違い、人類愛のような壮大な愛があったと思う。
豊かだった頃の自分に出来なかった、何かを大切にするということを、失ってから取り返して行くのは、愛の起源に立ち返ったのだと感じた。

大量の被爆から生き残った彼が、まるで人類最初の人かのように、ボロキレを纏い歩く姿は感動的だった。
荒廃した協会で、彼はキリスト像に毒づくが私には彼が今までの振る舞いを罰せられているようにも見えた。

繰り返し見る度に、感想が変わる作品。最高だった!