ぽん

水の中のつぼみのぽんのネタバレレビュー・内容・結末

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

「秘密の森の、その向こう」(2021)が今一つピンと来なかったので、セリーヌ・シアマ監督の他作品を観てみようとこちらをチョイス。長編デビュー作とな。

ミドルティーンの女子の物語。女の子たちがワチャワチャする青春映画は好きなのだけど、そういうんじゃなくて、不穏なジャケ写で分かるとおり思春期のモヤモヤザワザワ系でした。友情と恋心の入り混じった複雑な女の子ゴコロの揺らぎを丁寧に描写している。

主演のポーリーヌ・アキュアールという子がイケてない主人公マリーを100%体現していて素晴らしいです。ロマン・デュリスを女の子にしたみたいな風貌。第二次性徴が遅れてる風な体つきは自意識過剰なこの時期、ホント絶望するよね。この子の親が1度も登場しないし、フラッと他人ん家に泊まってる感じからなんとなくネグレクトされてるのかなぁと勝手に想像。身体の成長の遅さはそのためか?とか。

彼女の友達アンナは真逆のぽっちゃりさん。体は大人なのにメンタルは幼女のようで危うい。案の定、好きな男の子にいいように利用されてしまうが、終盤の彼女は強くなって少し大人になっていた。

そしてマリーが憧れる年上の美少女フロリアーヌ。アーティスティックスイミング・チームの中心メンバーで、妖艶なビジュが目を引く。マリーとは住む世界が違うって感じなのに、大胆にもグイグイと近づいていくマリー。美貌ゆえに周囲に妬まれ誤解され孤立していたフロリアーヌは、最初こそ冴えないマリーを適当にあしらい利用しつつ付き合っていたが、徐々にマリーに心を開いていく。この展開がちょっと意外で、ビッチに見えたフロリアーヌが本当はそうじゃなくて、この2人は無二の親友になっていくのかなーと思えたのだけど、そうシンプルな話でもなく・・・。

このフロリアーヌという女の子のキャラがちょっと曖昧で不思議だった。行動がチグハグに見えるのだけど、これはもう演じてるエデル・アデルの実存の勝利でしょうね。“女子に嫌われる女子”の悲哀と自負は完璧に伝わってきた。こりゃマリーちゃんならずとも惚れるわ。

そんな心と体のバランスが不安定な3人の“青春はどどめ色”(by藤井風「青春病」)な物語でした。
女の子って本当に楽しい!とかいうCMがあったけど、実際は、女の子って本当に面倒臭いのよ。
で、結局、私はこの監督さんと和解できませんでした。たぶん相性が悪いのでしょう。良し悪しじゃなくて好き嫌いの問題。
ぽん

ぽん