波際最終少年

東京物語の波際最終少年のネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画好きの人に勧められ、予備知識なしでの鑑賞。

古くから東京に住んでいた父方の家、母が上京して地方に残った母方の家、それぞれの親戚たちの姿を自然と思い浮かべた。私の両親が生まれたのは、おおよそこの時代から20年ほど経った頃だ。映画のなかにいる子どもたちが、私の祖父母くらいの年代にあたるのだろうか。直近で旅立った、地方で一人暮らしていた祖父のことを思い出した。

見終えて、予備知識を入れずによかったと思った。紀子の境遇、周吉や京子との対比は、画面からひしひしと伝わった。そういう意味では、あらすじや簡単な解説に書かれていることは感じ取れるものがあった。私はどうしても、志げ、幸一、敬三たちを、悪く言う気が起きない。もちろん、とみが紀子の家に泊まった日のやりとり、最後の周吉と紀子のやりとりへの繋がりには、とても美しいものがあった。ただそこには同時に、どうしようもない悲しさや苦しさのようなものがまとわりついていて、どう言葉にすればよいのかわからない。それはどこか、私が祖父母を亡くしたときに味わった空気に似ているような気がした。

いわゆる古典的な名作映画を見たのは初めてだった。古典は見続けられ、評価され続け、語り継がれるからこそ、古典として知るチャンスを得られる。難しいことではあるが、初心者だからこそ予備知識を最小限にして見ることで、古典を体験として取り入れることができるのかもしれない。古典とは違い、ファーストインプレッションを残すチャンスは一度しかない。これが初心者なりの初レビューだ。