もっちゃん

東京物語のもっちゃんのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.5
見ていてどんどん好きになっていく。そんな映画だった。哀愁たっぷりのストーリーだけど、暖かさもある。小津監督が家族のあり方を問うた作品。

時代は戦後、田舎で暮らす老夫婦は子供達が暮らす東京へ出向く所から物語は始まる。しかし、大都会東京で多忙を極めている子供達にとって親の相手は面倒に感じられる。たらい回しにされても、子供には優しい老夫婦を見ていると本当に切なくなる。

今では新幹線も携帯電話も発達して、すぐに両親には会いに行ける。この時代よりは親子関係は希薄ではない。しかし家族ってのは不思議なもので、他人よりは密だが、決して気兼ねなく本音を言い合えるような関係ではない。むしろ血の繋がっていない他人の方が心の内を打ち明けられるのかもしれない。

いつか来るであろう親の死に目に自分がどんな感情を抱くだろう。泣き叫ぶだろうか、途方にくれるか、簡単に切り替えられるか。そんなこと分からないが、出来るだけ後悔が少ないように今親との時間を大事にしたい。