この映画を観ると、自分と家族の関係について考えずにはいられない。
来年、私は社会人になる。私が入社する予定の会社は全国転勤アリで、どこで働くことになるか全くわからない。北は北海道から、南は熊本まで。自分の生まれた長野県南部から遠いところで働くことになっても何もおかしくない。だが、別に私はそれをあまり不安に思っていない。そこに、やはり若干の寂しさを感じてしまう。
私は大学生になって始めて一人暮らしを始めた。と言っても、寮暮らしだが。
大学生になる前は、親元を離れるというのが不安でたまらなかった。
しかし、今では実家に帰ることさえ億劫だ。
人間が社会的動物である限り、家族の関係はどうしても変わっていってしまうのだろう。この映画が提示してくれたように。
でも、せめて親の幸せが何なのかということは分かるようにしたい。せっかく来てくれた両親を2人だけで熱海に行かせるような真似はしたくない。
そうすることで、親子関係の崩壊を防ぐことが可能になるだろう。
私が尊敬してやまないウェス・アンダーソン監督は小津安二郎監督から影響を受けていることを明言している。子供の描写、定点カメラによる低い位置からの撮影、人物がカメラに向かって真正面で話すことなど、小津監督作品を初めて観るはずの私にとって、非常に見覚えのあるシーンが散見された。