April01

ロッキー3のApril01のレビュー・感想・評価

ロッキー3(1982年製作の映画)
3.3
本作で完全にオリジナルの若きロッキーは消えてる。
体はタフだけど繊細、強いけど自信がない、カメが友達なオタク、字を読めないとか、社会に馴染めないとか、ビジネス的成功が難しいという、2までの敗者の姿から完全に脱皮させているので、不器用でナイーブで繊細で怯えた若さに魅力を感じていた自分としては序盤からガクっときて、最後まで気持ちを挽回できない。だってもうビジュアルが違いすぎだし。
その上で、タイガー・アイを取り戻せとかなんとか、繰り返しを試みているのを、肯定的にみるか、マンネリと呆れるかで評価が変わってくると思う。

ただし、アポロとの関係性のプラスの変化は、年齢を重ねて失うものがあって初めて実現するものなので、その点に熟成された年輪のような味わいを感じる良さはある。

かつて競い合ってた、もしくは対立してた人、なじめなかった人というのは必ず人生のある地点に存在していて、もしこの作品で描かれているみたいに、何かの機会にまた人生が交差して出会い、はたまた万が一協力関係になることがあったらどうなる、その人と今なら違う会話が出来るかもしれないな、などと思いを巡らせる。
時間の経過すなわち老いるということは、必ずしも悪い事ではないかもしれないという後味の残る、あの2人のスパークリングのシーンは何気ない自然なセリフも含めて本当に良い!
April01

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