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にんじんのqqfowlのレビュー・感想・評価

にんじん(1932年製作の映画)
4.0
殿堂入り児童文学だと思うんだけど未読だったので、映画があると知り見てみた。

にんじん君は両親が不仲で、母親は父親に対する鬱憤を末っ子にぶつけている。不満があるからって、家庭の中に生け贄を必要とするってどういう心境なんだろうという憤りはともかく、にんじん君は、意地悪されてる割に結構たくましいところもあるし、兄や姉よりむしろしっかりしてるところもあるみたいだったのに、それでも存在の危機に陥ってしまった。一番愛されるはずの母親に虐められるのはやっぱり辛いよね。足元がおぼつかないっていうかね…。などと考えながら見た。

見終わってから青空文庫を見にいったら、訳者の方の解説というのがあった。それを読むと、母親が実の子を虐める衝撃は映画公開当時も今も変わらないみたい。もう昔のことだと思いたかったけど。まあ冷静に考えれば今だって悲しい事件の報道はあるし。

だからこういう文学が孤独な子供のためにあるのはいいと思うし、社会的なタブー感の強いストーリーを表に出した作者さんはすごいなと思う。

とはいえ大概な話よね…。考えれば考えるほど憂鬱になるわ…。
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