明石です

歌え!ロレッタ愛のためにの明石ですのレビュー・感想・評価

歌え!ロレッタ愛のために(1980年製作の映画)
5.0
「山で生まれたら道は3つだ。炭鉱を掘るか、酒を売るか、山を降りるかだ」てなわけで山を降りて4児の母になり、歌手になった炭鉱夫の娘の伝記映画。

物語序盤は30歳にして13歳の女の子を演じたシンデレラ娘シシー・スペイセクの演技に釣り込まれ、中盤からはひたすら彼女の歌声に聴き惚れる。13歳で子供を作り、少しずつ大人びていく主人公のホーミーな背景が乗せられた、この世を拗ねたような掠れ声が堪らんのです。シシーは俳優になる前は歌手志望だったらしく、その歌唱力は本物のカントリーミュージシャン顔負け。というか、こんな歌上手い人がこんな演技できるの凄い、と、もはや歌手として見てしまってた笑。

そして夫役は、シシーとは対照的に実際の歳よりひとまわり大人びて見えるトミー・リー・ジョーズ。缶コーヒーのCMのおかげで日本では広く知られるこの人が、とってもイイ男を熱演。最初は若いオナゴ相手に見せるだけ夢を見せといて、結婚したが最期、安酒場と安い香水の匂いを漂わせて帰宅し、新婚の妻を現実に放り込む典型的な田舎のダメ夫かと思いきや、だんだん奥さん思いのイイ男になってくの素敵だなあ。山で木こりをやったりロレッタの歌手デビューをプロデュースしたり何でも出来るし。そしてその後は妻の成功にやっかみながらも支える、哀愁ふんぷんたる男に。

あと全編通して主演2人の南部訛り(設定はケンタッキー)がとってもキュートで癒される。山の上の村育ちの2人が都会であくせくしてるのを見るだけでもね。関係ないけど、中盤以降にチラチラ映る2人が住む豪邸テキサスチェーンソー(2003)のあのヒューイット家の家と劇似、、もしかして一緒のセット?と思って調べてみら場所が違うみたい。建物の外観があまりに似てる、というかほぼ同じだからびっくりした、、

しかし邦題と日本版のジャケットが、いかにも、時代と共に忘れ去られた映画でござい、って感じなのがもったいない、、”炭鉱夫の娘”というロレッタ・リンの愛称をそのまま冠した粋なタイトルで、作中でも髪をばっちしセットしたお姿よりむしろ、子守りに勤しみながら土のついた服装でギターをかき鳴らしてるカントリーな姿こそ最高にクールなのに、、とはいえ映画自体は小粒ながら超超良作でした。シシー・スペイセクに恋する映画と言って遜色なさそう。私も危うく恋しかけたし、、そして彼女はこの役で初のアカデミーとゴールデングローブの主演女優賞をW受賞したみたいですね。そりゃ当然だ。これより上がいるわけない。
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