Mariko

西部戦線異状なしのMarikoのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
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これが1930年にアメリカで作られたことの意味。
WWIの12年後(つまりWWII開戦の10年前ということになる)に反戦を訴える姿勢という意味でも、また演出の見事さという意味でも、凄すぎる。

何度も書いているけれど、WWI、IIのドイツを描いた映画で全編英語で話されるのにどうしても違和感があるのだけど、これを観ていたら言語が何かなどということはいつの間にか忘れていた。

学校の先生が無責任に主張する"patriotism"に煽られて(実情を知らずに)戦地に赴く若者たちの、(特に前半では)誰に焦点を当てることもない描き方により醸し出されるリアリティ。
また、上層部は一切見せず前線の兵士たちだけを描くことで「誰が戦争を始めたのか」わからないけれど、そういう存在が確実にいるはずであるという事実がより際立っているように思える。
次々に若き兵士が戦死していくことの象徴としての「ブーツ」の見せ方には唸った。
戦争の不条理さを訴える100年近く前(!)の作品で、ここまで表現しきれていたとは。

この作品にスコアをつけるなんてあまりに畏れ多いので、スコアなし。
Mariko

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