ENDO

西部戦線異状なしのENDOのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)
4.2
『彼らは生きていた』のカメラに振り返る若者たちのショット。淡々とした描写は若き一兵卒の視点。英雄なんて1人もいなくて塹壕の中の狭い最悪の環境で戦友達と戯れ、女性に憧れ敵国の村人と初体験をし成長していく。戦争が教師となり生活となる。怪我による一時帰郷で家庭や学校に赴くと大人の机上の空論や何のリスクも背負わず声高に祖国に尽くすことを強要し、殉死を称賛する姿勢に幻滅。故郷すら喪失する。戦場だけは嘘なく自分でいられる世界として共依存の関係になって逃げ場がない。不死身と言われた戦友だけが生涯の友となる。有刺鉄線目掛け突進する兵士の横移動撮影の素晴らしさと俯瞰の戦場シーンに圧倒される。余韻のなさに息を飲む。サイレントの演出が色濃く残ってる。呪われたブーツの繋ぎや手が導く蝶に。
ENDO

ENDO