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戦場のメリークリスマスのdeenityのレビュー・感想・評価

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)
2.5
もうすぐメリークリスマスということで本作。まあクリスマスと題していますが、クリスマスに見るような映画ではないですね。たとえどんな余韻が残ったとしても、クリスマスの雰囲気は本作にはありませんでした。

本作の印象としてはやはり音楽でしょう。坂本龍一が手掛ける誰もが聞いたことがあるあのメロディ。それを聞けただけでももう価値はありますし、達成感はあります。

正直内容に関してはよくわからんのですよね。まず大体にして何を言ってるのかよくわからなくて、字幕描写はいいんですけど、たけしとか坂本龍一の言葉はことごとく聞き取りづらい。これは『七人の侍』の時とかにも感じたんですけど、本作は正直異国の宗教観だとか戦中の愛国精神だとか、今の日本人にはわかりづらいところに焦点を当てているため、同じような男くさい話ではあっても、もう少し聞いて理解したかったところはありました。

一方で登場人物は男のみに限られるような異端な作品ではありながら、単なる男くささだけでなく、妙な艶感があるのは本作がホモセクシャルに言及しているからでしょうね。とはいえやはりその辺りもはっきりと言語化されることはなく、イギリスとの関係上至極当然ではありつつも、感覚的描写だけでの解釈は苦手なのでしっくりは来ませんでしたね。

唯一好印象だったのは、デヴィッド・ボウイが埋められて蝶を纏うシーンですね。あの蝶一つで彼の生命を表現するのは実に幻想的で見事だったと思います。

まあやはり戦争で価値観というのは大きく狂わされるものなんだと実感する反面、別にそれは本作を見たから実感したものではなく、本作を見て何を感じたのだと考えてみても今一つピンと来ないのが本音です。
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