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ゴールド・ボーイのdeenityのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.5
最近はわりと年度の変わり目で時間に多少余裕があるのでガンガン見に行けそうな作品は劇場に足を運んでいます。そんな中、評判の良かった邦画作品です。

岡田将生演じる東昇は冒頭莫大な資産を持つ義父母を崖から突き落とし殺害。しかし、それを事故に見せかけ、目撃者もいないため完全犯罪かと思われたが、思わぬところで中学生3人組が証拠となる動画を撮影しており、ゆすられてしまうという展開の昨品。

まあネタバレになってしまうのであまり語れませんが、娯楽性はもの凄く高い作品で、テーマ云々とかいう小難しい感じではなく、誰が見ても楽しめるタイプの作品なんじゃないですかね。
特に良かったのは役者陣の演技で、岡田くんは言わずもがなサイコパス的な役がハマってましたが、殊に東昇と対立した中学生3人組が絶妙でしたね。

明らかにガラが悪くどう見ても中学生には見えない前出燿志くんもよかったですが、圧倒的だったのは主人公の安室朝陽を演じた羽村仁成くんとヒロイン枠の夏月を演じた星乃あんなちゃんは素晴らしかったですね。
東昇との頭脳戦を繰り広げていたのは実質朝陽一人ですし、最初は純粋で素朴な優しそうな少年に見えた子が実は切れ者で肝が座っていて、って展開はわくわくしてきます。
そして夏月の透明感ですよね。あれぐらいの年にあんな子に出会ってたら男はみんな好きになるんじゃないかってぐらいのヒロインキャラが最高でしたね。

他にも黒木華さんやら江口さんやら脇を固めるキャストもさすがの存在感で、演技は本作においての魅力の一つでしたね。
そこに加えて脚本なわけですが、これ以上のキャラ説明もネタバレになりそうなので、ここからはネタバレ注意です。

正直作品自体はどんでん返しとかそういう類の映画として括らない方がいいとは思うので、予想できたとかできなかったとかっていうのは適当ではないのですが、というのもそもそも東昇と朝陽の対決ってのはあの数学オリンピック的な表彰の段階で決まっているようなものなので、オチとしては予想できる作りにはなってるわけです。

ただ、そうは言ってもさすがにそこまでは、って思えてしまうのが朝陽然りその他中学生側のやり取りで、ジュブナイル作品としても思えるくらいにかわいらしくもあって、確かに最初から怪しんで見てたから違和感はありましたが、ミスリードはもの凄く効いていて、だからあの2人を殺害したこと自体もちょっと驚くほどでした。

まあそこからは結構お約束の、って感じはありましたが、その朝陽が読み切れなかったのが、夏月の純粋な愛だったってのは作品のまとめ方としては見事でした。

まあ脚本自体は原作の中国版にどこまで寄せているのかわかりませんが2時間以上の上映時間を飽きることなく楽しませてくれる素晴らしい娯楽映画でした。
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