TAK44マグナム

ディスタービアのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ディスタービア(2007年製作の映画)
3.3
D・J・カルーソー監督作のスリラー映画。
主演はシャイア・ラブーフ。このコンビは「イーグルアイ」と同じですね。
製作総指揮はスピルバーグ御大です。
この監督さんはサスペンスを盛り上げるのが結構お上手ですよ。「アイアムナンバー4」みたいなトンデモなのもありますが・・・

お話は基本、ヒッチコックの「裏窓」みたいな感じです。
身動きのとれない主人公が家の窓から近所を覗いていると、隣の家の住人がどうやら殺人者らしいことが分かって、どうしようかとしているうちに覗きが気づかれてしまいピンチに陥るわけですね。
まあ、「裏窓」に似ていますね。実際、盗作だと訴えられたらしいですが、盗作認定は回避できたみたい。
コンセプトは同様でも、細部は違いますしね。

シャイア・ラブーフ演じるケールは父親を亡くして以来、学校でもどこか上の空状態。ついつい父親不在のことをからかった教師を殴ってしまい、三ヶ月の自宅監禁を命じられます。
足首に監視装置を付けられ、自宅から出ると直ちに警察がやってくるシステムになっています。
ゲームも禁止されて暇なケールは仕方なく近所の様子を双眼鏡で覗く毎日。しかし、運の良いことに隣に引っ越してきた家族の中に美少女がいました。
アシュリーという名の、その少女は毎日ビキニ姿で泳いでいたりします。それを覗くケールと友達のロニー。
そんなことをやっているうちにアシュリーとも急接近をはたし楽しくなってきた頃、裏隣の男が怪しい行動をとっていることに気づきます。
テレビのニュースで報道されている女性失踪事件と何か関わりがありそうだと気づいたケールは、アシュリーとロニーに協力してもらって独自に隣人を調べ始めるのですが・・・

前半のほのぼのとした雰囲気から一転して、隣人への疑いが本格的になってからはピリピリとした空気が漂いはじめ、クライマックスにかけては殆どホラーと化します。
この緩急の付け方は良いのですが、事件が動き出すまでが些か冗長に感じられましたね。

気になった点として、結局のところ、「父親の死」が話に全然からんでこないので、これだったら別に父親の描写なんていらなかったんじゃないかな?と思っちゃいました。あれだけ冒頭で派手に父親が死んだ事故のことを描いておりながら、教師に父親が死んだことをからかわれて殴り、その結果によって自宅から出られないという足枷のある状況をつくりだすためだけにしか機能していない設定なら、別に最初から母子家庭なんですって一言で済んでしまいそうです。
ケールの日常に尺を充分とっているのに、父の死について言及される場面が全然ない。どちらかというと暇つぶしに何かするとか、アシュリーの尻ばかり追っかけていて、別に母親と父について話すわけでもない、というのはどうかと。

逆に面白いところは、現代の若者が探偵ごっこを行ずるにしたがって、電子機器を活用するところです。
ビデオカメラや携帯、パソコンを活用して、隣人が恐ろしい犯罪者である証拠をつかもうとします。
ロニーが相手の家に侵入する場面では、電波で映像をとばすカメラが活躍しますが、これがP.O.V方式のホラー映画のような効果をあげてスリル満点。その後の顛末も笑えて面白いです。

しかし、それにしても、こういった映画では、きまって警察って無能ですよね(苦笑)

今日は、お気軽にハラハラできる映画でもみようぜって時にオススメです。


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