【hiphop】それは70年代アメリカの黒人コミュニティで生まれた文化。“黒人の音楽”とされてきた聖域にスキルひとつで乗り込む一人の白人の姿は、まさに主演EMINEMのスターダム人生そのもの。彼が主演だからこそ成り立つ作品であり、感じさせる重みがあった。
EMINEMの半生を踏まえた上で流れてくる「lose yourself」がとにかくバチバチにはまっていて食らってしまう。
実際にクラブからかき集められた一般の聴衆達と作り上げられたシェルターの一幕は、まさにアングラのリアル。フリースタイル等でもよく引き合いに出される有名なA・ラビットとパパ・ドッグのバトルはいわずもがな痺れる名シーンだ。
作品では最終的な成功はあえて撮していない。ここに関しては、映画として良いのか悪いのかは分からない。しかしながら、深刻な家庭環境、黒人優位な世界など、様々な困難を抱えながらそこに立ち向かっていくA・ラビット(EMINEM)を観ることで大きな勇気を貰えることは間違いないであろう。