ハッピーアイスクリーム

アジョシのハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

アジョシ(2010年製作の映画)
4.2
過去に起きた事件の傷を抱えながら、質屋として細々と暮らすテシクと、彼のことをアジョシ(おじさん)と呼び慕う隣家の孤独な少女ソミ。微妙な距離感ながらも心を通わせる2人だったが、母親が麻薬事件に関与したことから人質となったソミを救うために、テシクはたった1人で巨大犯罪組織に立ち向かう決意をする。

ツンデレのダークナイト。

韓国の人気俳優ウォンビンがほぼスタントなしでアクションに挑戦し、韓国のアカデミー賞と称される映画賞、大鐘賞で最優秀男優賞を始め数々の賞を受賞したクライムアクション。2010年度の韓国興行収入1位を記録した。

アウトロー系アクション映画好きが選ぶ好きなシチュエーションTOP10全部詰め込んだんかってくらいの激アツシーンの数々。
こういうのが観たかったんです。
わかってらっしゃる。
逆に言えばありがちなシーンということなんですが、この作品の見事な世界観の吸引力のせいなのか、凄い惹かれる。何度も観たくなる。
またウォンビンのビジュアルがこの無敵の一匹オオカミによくハマってる。激カッコいい。
敵の兄弟とかちょっと間抜けな刑事のコンビとか脇役も味があって印象的なキャラクターが多い。タイムマシーン3号みたいな通訳の子良かった。

韓国版レオンとの呼び声高いですが、個人的にはジョン・ウィックに近いかなという感じの作品。
麻薬、臓器売買、犯罪に使われる子供たちなどハードな内容とエグめの描写も多少あります。あまりに非道徳的で人の命が軽く扱われる韓国の裏社会めちゃくちゃ怖いです。

“おじさんのこと嫌いになったら
わたしの好きな人がいなくなっちゃう”

“お前は明日に生きる
明日を生きる奴が
今日を生きる奴に殺される
俺は今日を生きる
それがどれだけ悲惨か思い知らせてやる”

“俺は質屋だ 金歯は買い取る
それ以外は全部食いちぎる”

最後はあの場所に行くなんて。
テシクがソミに送った言葉。
言葉数は少なかったけど、いろんな想いが詰まってて、涙がとまらなかった。
シンプルで王道のストーリーですが、心に響くアクションノワールでした。