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エディット・ピアフ愛の讃歌のmaroのレビュー・感想・評価

4.0
 ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★★★

オリヴィエ・ダアン監督による「世紀の女性を描く3部作」の第2作目。
フランスで最も愛されている歌手の一人であり、国民的象徴であったというエディット・ピアフの伝記映画。
恥ずかしながら、この映画を観るまでその存在を知りませんでした。。。

伝記映画って事実から逸れることができないからか、淡々と進むことが多く、地味な印象を受けることも多々ある。
でも、この映画に関してはそんな常識を軽く吹っ飛ばしてくれる。
なぜなら、その事実自体が波乱万丈だから(笑)

エディット・ピアフ(マリオン・コティヤール)は、幼い頃の家庭環境がいいとは言えず、母親は育児を放棄。
売春宿を営む父方の母の元に預けられ、売春婦たちにかわいがられて育つ。
この時点でもう普通の子供とは違うかなり尖った人生ってのがわかるけど(笑)

その後、大道芸人の父親と行動を共にするも決別、15歳ぐらいの頃にはストリート・シンガーとして生計を立てるように(劇中ではその経緯については触れられていないけど、調べたところそんな流れのようだ)。
母親が一応歌をうたっていたこともあってか、その才能を譲り受けていたのが、ピアフにとっての唯一かつ最大の武器だったよね。
運よくナイトクラブのオーナーの目に留まって、あれよあれよという間に時の人へとなっていくんだから。

ただ、彼女の性格は生い立ちも影響しているのか、かなりぶっ飛んでいた。
言いたいことはハッキリ言い、有名になってからのわがままは度が過ぎていると思うほど。
自分だったらあんな人とは仕事をしたくないなあと思ってしまうけれど、歌唱力はあるしファンも多いしで稼いでくれるからか、みんな厳しくしない(笑)

そんなエディット・ピアフを演じたマリオン・コティヤールの歌声と演技が、この映画で一番推したいところ。
歌は本人が歌っているのかはわからないけれど、あの力強い歌い方はとても印象に残るし、そもそも歌自体のメロディーが素敵。
どこで聴いたかはわからないけれど、知っているものもいくつかあった。
それほど有名ってことだよね。

さらに、常に感情むき出しなピアフの言動や表情をこれでもかってぐらい出してくる演技力に圧倒された。
特に、彼女が最も愛したと言われているプロボクサーのマルセル(ジャン=ピエール・マルタンス)の身に悲劇が起こったときの感情の爆発っぷりはすごかったね。
かと思えば、晩年における今にも死にそうなぐらいに弱りきった様子も演じ切っちゃうんだから、こんなにも使い分けられるのかと驚いた。
しかもあれ、てっきり80代ぐらいの設定なのかと思ったら、まさかの40代っていう。。。
モルヒネ中毒って怖いな。。。

そんなわけで、ピアフのキャラクターおよび歌声が凄まじくて、夢にまで出てきそうなぐらい振り切っていたのがよかった。
劇中で流れる歌もきっと聴いたことあると思うので、ぜひ観てみてください。
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