Sasada

ペパーミント・キャンディーのSasadaのレビュー・感想・評価

3.9
何かを捨てなければ生きていけない世の中で。どうしようもなくて、やるしかなくて、その度に心は死んでゆく。

右に行ったらタランチュラ、左に行ったらアナコンダ。みたいなもんで、それを「自己決定」とか「自己責任」で語ってしまう暴力性よ。自分の選択でどうこうできる範囲なんてたかが知れてる。

時系列を遡りつつ人生を辿っていく物語で、個人の営みが組織や国家によって壊れていく様に胸が痛む。
あの時代に生まれなければ、あいつがいなければ、空気や文化が違っていれば。いくつものifのその先が冒頭に示されるだけに、眼前のシーンにいくつもの意味が付与される。

ままならない人生に翻弄されつつ、それでも生きていかなければならない。永遠に思えるその一瞬に、世界の全てと思えるその繋がりに何とかわたしたちは生かされる。

イチャンドン監督作を観るのはこれで3作目。全部すげー。
Sasada

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