これは良い。ザ・松竹という感じ。
山村聡の娘たちの結婚話と、長男の元妻の久我ちゃんとの交流が描かれる。
カットの割り方、人の配置の仕方などうまくて、こういう作品は次にどんなカットになるか楽しみ。美術、ロケの風景、久我ちゃんのお着物もすてき。
映像や雰囲気がしっとりしてる割に、ストーリーの展開は速くて見やすい。悲しいエピソードもあるけど、最後は人の善良な心を描く脚本は「この広い空のどこかに」の楠田芳子。
岩下志麻、倍賞千恵子ともに松竹らしい、なんとも清楚な雰囲気。
気立てが良いのに夫のことをシビアに見ている久我ちゃん、久我ちゃんには優しいのに、娘に対して頑固な山村聡、気の弱い久我ちゃんの前の旦那さん、怖さがにじみ出てる北林谷栄など、キャラクターが一面的でないのが良かった。
「松竹映画百周年記念 ホームドラマの系譜」