あねといもうとの作品情報・感想・評価

あねといもうと1965年製作の映画)

製作国:

上映時間:90分

3.7

「あねといもうと」に投稿された感想・評価

三四郎

三四郎の感想・評価

4.1
父一人、娘三人のレストランでの食事。倍賞千恵子は結婚話を言い出しにくいから一人赤ワインを飲むのか。皆に比べ一人心情の重さが伝わる。
「義務教育ですからね、優秀な生徒だけご満足するような教育じゃ意味ないですよ」
見合いの顔定めは社会科か笑笑
「ま!どっちかって言うと社会科ね!」って轟夕起子うまい!
倍賞の背景は黒い教会…二人の前には暗雲。演出がなかなかいい。

ああ、ええ母親やなー夜汽車に乗って来る、それに対して「歳なんだから」と息子は怒る、息子の優しさだね。家族アルバム抱えて来て、「亡くなった主人、嫁に参りました娘、金沢のうち、息子の小さなとき、私のこと息子のこと 少しでもお分かり頂けたら…」年老いた母親の指が絆創膏だらけということは家事をしっかりしている証拠かしら。一方で親子の冷たさ、もう一方で親子の情愛、あたたかさを感じる映画だった。
妻を亡くした会社重役に美人三姉妹の結婚問題、そして他人ながらも近しい女性。伝統的なザ・大船松竹女優映画で、それ以上でもそれ以下でもなかったけど充分に面白かった。

家族そろっての会話のシーンでのカメラの切り返しの素晴らしさは、昨今の映画で自分が長回しに慣らされてしまっていることを教えてくれた。

倍賞千恵子が働く会社が外資系アパレルで、外資系は人をコキ使うというか残業が多いみたいなことを言ってて今と認識が真逆なんだなーと思った。実際はどうだったのかな。

姉妹の中でダントツに引っ込みだった倍賞千恵子が愛する人を失い、姉の恋愛にとやかく言う子離れの出来ない父親・山村聰に向かって「お墓に抱いてもらうことは出来ないのよ!」と言い放つシーンは胸に刺さった。

本作とは関係ないけど、こういう結ばれる前に愛する人を亡くしてしまう映画を観るといつも『下町(ダウンタウン)』(千葉泰樹監督)の山田五十鈴は本当にラッキーだったんだなあといつも思ってしまう。

岩下志麻が好きになる小学校の先生・青木(大辻しろう)が大木こだまにしか見えないし、野暮ったい上に歯科医院で待ち伏せしたりストーカーまがいなことまでしているのにどうして落ちてしまったのかが理解出来ないw

倍賞千恵子に死んだ人に線香あげてどうなるのと凄まれておののく北林谷栄がいつもと違う顔をみせていて、さすがの名バイプレイヤーとうなされてしまった。

不満なのが中村晃子の扱い。久我美子の慰謝料問題を勝手に処理、なのに久我美子には他人が家族に口出しすんなと怒鳴る。
最後に久我美子が中村晃子に対して微笑むけど、それでは済まないくらいの悪役。もう少しフォローがあっても良かったのでは。
松竹大船お得意、頑固親父の娘の結婚問題に揺れる家族の話。
今回は三人娘に加えて、亡き長男の嫁さん(久我美子)まで加わる豪華版。

川頭義郎といえば、同じ木下恵介門下でも小林正樹に比べて知名度は低いのですが「涙」「風の視線」「伊豆の踊子」などを観て、好印象を持っています。
やたら縁談を持ってくるオバサン(轟夕起子)、相手の男性のイヤミな母親(北林谷栄)、頑固親父(山村聰)がお気に召さない娘の交際相手(大辻司郎)など類型的ですが、それはそれで家族もののお約束。
35ミリプリント状態も良好で、久しぶりに映画館で松竹大船らしい映画を堪能しました。
小津が死に佐田啓二も亡くなり、あわや風前の灯火に見えた松竹文芸路線に名乗りを上げたのが木下恵介の秘蔵っ子、川頭だ。落ち着いた画面と漂う風格、迷いない律儀なカット割り。岩下、倍賞、中村晃子!の三姉妹もいい。だけど男優の不在が決定的に物足りない。