サム・ペキンパー監督作品。
数学者のデヴィッドと、妻エイミーは静かな環境を求めてアメリカから妻の故郷イギリスの片田舎に引っ越してくる。
が、そこでは村の若者たちから笑い者にされたり嫌がらせの日々が待ち受けていた。
主人公のデヴィッドは気弱で平和主義者。
村の連中に言い返したり、はっきりと行動に出ない。
妻エイミーはそんなデヴィッドに呆れつつ、仕事で構ってもらえない寂しさもあり、ノーブラでガードが緩め。見るからに頭が悪そう。
ちょっとした行き違いから齟齬がどんどん大きくなってしまい、デヴィッドが正当防衛を超える暴力にまみれていく様子が激しく描かれています。
「わらの犬」というのは
天地不仁、以万物為芻狗
(老子の道徳経より)
天は慈悲深くもなく、しょせん全ての人間は貢物と同じ。
もしくは天地は公平であり、誰も特別では無い…
別に誰が正しくて優劣があるわけでもなく、人間は崇高な存在ではないという監督の冷酷な視点が伝わります。
登場人物の誰にも共感出来ないし、同情も無いし、なんとも言えない作品です。
人間の本質とは、愚かなものなんですね。
ダスティン・ホフマン(超なで肩)のラストの表情と台詞は名シーンだと思います。