パン

わらの犬のパンのレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
4.5
つけびして
煙り喜ぶ
田舎者  

本作は閉鎖的な雰囲気の田舎町に越してきた主人公夫婦が村人から陰湿な攻撃に晒される胸糞映画だ。
ダスティンホフマン演じる主人公は物静かで平和主義な数学者。 
静かな環境に憧れアメリカからイギリスの片田舎へとやってきた… 

日本の田舎(限界集落レベルのとことか)でも他所からやってきた医者を集団で虐めて追い出したりとか起きるよね。 
ダスティンホフマンの妻役としてダーティ・メリー/クレイジー・ラリーで主演してたスーザン・ジョージが出てくる。 

ただこの奥さん、ちょっと性格に難あり…というか色々と幼稚すぎる。
自分が退屈すると仕事の邪魔して構ってもらおうとしてたし。
旦那は旦那で序盤平和ボケしすぎててどうも頼りがいがなかった。 

なんかもう世の中全てが敵に見えてくるような映画だよねこれ。 
主人公たちの一挙手一投足を監視し村人たちが嘲笑してる感じが胸糞悪かった。
田舎ってそんなやつが多いから田舎のままで発展しにくいんだよな…
 
レイプによるPTSD的な表現がこの時代の映画にしては珍しい演出だなと感心した。
時代を先取りしてる。

序盤は理不尽だけど、終盤らへんは結構ちゃんとした理由(?)があって村人たちが夫婦のマイホームを集団で攻撃してくる。 
そしてこの籠城戦、じわじわ迫りくる恐怖の描き方が秀逸。
外から大声で怒鳴られ、窓ガラスがどんどん割られ、家に火をつけられ…

本当に観てて恐ろしい。
結局人間が一番怖い。

ゾンビの如く攻撃してくる村人たちもただ娘の安否を確認したいだけの父、元カノに対する未練たらたら男、楽しければおっけーwみたいな単なる野次馬的な参加者までいて各々様々の思惑がある。

やっぱサムペキンパー監督作なだけあって暴力シーンが本当に痛そうだ。
この時代にバイオレンスを描かせたらサムペキンパー監督の右に出る者がいない。 
"血まみれサム"の異名は伊達じゃない。

あれだけお人好しで平和ボケしてたダスティンホフマンも最後には復讐の鬼と化し、すっかり別人のようだった。
「帰り道がわからない」「僕もさ」
ラストのこの会話痺れる。
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