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近松物語のmajiziのレビュー・感想・評価

近松物語(1954年製作の映画)
5.0
題名の通り、物語は人形浄瑠璃のために近松門左衛門が書き下ろした江戸時代のスキャンダルがベースになっています。

なぜこんなに美しい画面ばかりが撮れるのでしょうか。
昨今の時代劇では見ることのできない、江戸時代の違和感の無さ。

髪型一つを取っても、女性たちの髱の反り具合。
お家様であるおさんはたっぷりめ。
奉公人たちは少し小さめ。
男性の町人らしい本田髷の控えめな細さ。
同じく髱は少しふっくら。

大店や家の構図、庭、自然。
動く人間の所作が美しければ、画面にすっと入り込める違和感の無さ。
ここまで完璧だと、眺めているだけでその世界に入り込めます。

物語は言ってしまえばベタな不倫劇ですが、些細な誤解から始まり、時代と身分の差、如何ともしがたい家の事情と、不幸に不幸が重なっていきます。

琵琶湖での場面は、美しい湖水の表現とあいまってストーリーは急展開。

生死をかけられるまでに誰かを想うということは、皆の憧れだったのでしょうね。昔も今も、それは変わらないのかなと思いました。

それにしても、香川京子さんの美しいこと・・・
怒っても可愛いとか、なんという品の良さ。
着物も素晴らしく豪華で、帯の結い方にも注目!
とにかく美しい作品です。
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