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シナのルーレットのmareのレビュー・感想・評価

シナのルーレット(1976年製作の映画)
4.0
複雑な状況を抱えた人々が屋敷の一室に集まり暴発寸前な心理戦が描かれる。ブルジョワに対して哀れな状況にリードする意地の悪さだったり、コンプレックスが復讐への引き金になったり、起きてはいけないことばかりが立て続けに起こってしまう不条理。ブニュエルみたいなサディズムが纏わりつく。窃視や盗聴を意識させる鏡を用いたカメラワークなど、感情の起伏に乏しい人物の含みのある喋り方など、安らぎさえも与えない愛憎サスペンス。ふとした瞬間に殺意が見え隠れする関係性が恐ろしく、彼らのような人種は計算が狂った途端に安易で愚かな結末へと足を突っ込んでしまう。あの銃声は誰へ放たれたものなのか。
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