TAK44マグナム

絶体×絶命のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

絶体×絶命(1998年製作の映画)
3.5
アンディ・ガルシアとマイケル・キートンが対決するノンストップ・サスペンス・アクション。

優秀な捜査官であるフランク(アンディ・ガルシア)は、かつて妻に先立たれ、今また最愛の息子マットも白血病によって失いかけていた。
FBIのコンピューターに不法アクセスして得た情報によって、骨髄の適合者がたった一人存在することを知ったフランク。
だが、その相手はIQ150の凶悪殺人犯で、脱走未遂を繰り返しているマッケイブ(マイケル・キートン)であった。
市長らを動かし、何とか骨髄移植の手筈を整えたフランクであったが、マッケイブは協力するフリをして、脱走のチャンスを虎視眈々と狙っていた・・・・・

イケメン俳優のアンディ・ガルシアが、息子のために奔走するパパぶりを発揮。
マッケイブが死んでしまったら骨髄が採取できなくなってしまうので、マッケイブを追いながら味方の警察がマッケイブを射殺しようものならそれも阻止しなければならず、段々と不利な立場に追い込まれてゆきます。
それでも全く諦めずに、最後の最後まで息子が助かることを信じ、命を懸けてマッケイブを追い詰めてゆくブレない姿は理想の「良き父親像」を体現しています。

一方のマイケル・キートンは、登場時から監房で筋トレをしてムキムキボディをひけらかしてくれ、もう準備万端って感じの凶悪犯を怪演。
拘束されていても余裕を見せるところなんてレクター博士っぽいですが、あちらほどの知性は感じられず。
IQ150と言う割には、行き当たりばったりなところも垣間見えます。
脱走するための事前準備の場面は良かったですね。ライターの石の使い方とか。
フランクと骨髄移植のために取引をするのですが、その要求内容の「タバコを吸えるようにしろ」や「図書室へ行けるようにしろ」が、全て脱走するための伏線になっています。
ただ、けっこう後半は力ずくになってしまって、あまり知的な部分が目立たなくなってしまうのが残念でした。
作品としては、マッケイブというキャラクターを一番重要視している節があって、意外と子供に甘かったり、自分の父親がロクでもなかったのと対称的にフランクが良い父親なのを認めていたりと、たんに凶悪なだけではない人間性も描かれており、ラストは狡猾なマッケイブの姿で締めています。
マイケル・キートンのとっては、やりがいのある仕事だったのではないでしょうか。

フランクに協力する女性医師役はマーシャ・ゲイ・ハーデンですが、調べたら何と、最強鬱映画である「ミスト」で狂信的なミセス・カーモディを演じていた女優さんじゃないですか!
本作では、なかなかシャープな顔立ちの綺麗な人だなと思ったのですが、まさかミセス・カーモディだったとは・・・。

ハリウッド製のサスペンスアクションとしては可もなく不可もない出来栄えといったところですが、逃げる凶悪犯をあくまでも生きたまま捕まえなくてはならないという設定が巧く、ほどほどの緊張感を味わえる佳作でしたね。
フランクの息子を助けようとする執念、そしてマッケイブの脱走しようとする執念、ふたつの執念の激突が収束してゆく終盤は、おいしい緊張感を味わえました。

でも、よくよく考えたら、子供ひとり助けるために病院は半壊するわ、少なくとも数人は死んでるわ、高速道路では大事故が起きるわ・・・と、劇中で自分でも言っていたけどフランクは絶対に責任とらされてクビでしょうねえ(汗)
クビで済めば良い方じゃないかな・・・・・行く末がちょっと心配です(苦笑)。


セルDVDにて