ナツミオ

長い灰色の線のナツミオのレビュー・感想・評価

長い灰色の線(1954年製作の映画)
3.8
NHK-BSシネマ録画鑑賞

 ”長い灰色の線“

監督ジョン・フォード。
主演タイロン・パワー、共演モーリン・オハラ。
ニューヨーク州ウェストポイントにある陸軍士官学校の教官だったマーティン(マーティ)・マーの自伝を映画化した伝記映画。
第一次、第二次世界大戦を通じて約50年勤め上げた彼と周囲の人々の物語。

戦争映画と思っていたフォード監督作品だが、戦争を背景にした伝記・家族ドラマで期待以上に良い作品だった。

原題 『The Long Gray Line』

1954年米作品カラー
製作 ロバート・アーサー
監督 ジョン・フォード
原作 マーティ・マー ナルディ・リーダー・キャンピオン 『Bringing Up the Brass』
脚本 エドワード・ホープ
撮影 チャールズ・ロートン・ジュニア
音楽 モリス・ストロフ ジョージ・ダニング
出演 タイロン・パワー モーリン・オハラ ドナルド・クリスプ ベッツィ・パーマー ワード・ボンド ロバート・フランシス 

日本語字幕 岡田壮平

(NHK番組内容より)

(NHK解説より)
巨匠ジョン・フォード監督の感動のドラマ。陸軍士官学校(ウェストポイント)で体育教官を50年間勤めてきたマーティ・マー軍曹(パワー)は、退職の勧告に納得がいかず、旧友である大統領に撤回を頼みに行く。
大統領に面会したマーティは涙と喜びにあふれた半生を振り返る…。
マーティを演じるのはタイロン・パワー。妻のメアリーをモーリン・オハラが演じ、フォード作品常連の名優が共演。フォード監督ならではのユーモアと情感あふれる演出が魅力的な傑作。

タイトルの
『The Long Gray Line』(邦題・長い灰色の線)とは、士官候補生たちの隊列を表したもの。(詳細は忘備録へ)

最初、引退勧告された老年のマーティが面会する大統領は、後ろ姿から彼の教え子でもあったアイゼンハワー(アイク)だと思われる。

主役のマーティ・マーはアイルランドからの移民であり、主演のタイロン・パワー、妻役モーリン・オハラは共にフォード監督と同じくアイルランド系。
マー役は最初ジョン・ウェインが監督の構想だったそう。
モーリン・オハラはフォード監督作品やジョン・ウェイン作品でおなじみ。
勝ち気だが家族思いで情に厚い役柄がピッタリの女優さん。

他にも脇役だが、教え子のレッド・サンドストローム(ロバート・フランシス)が落第の危機に、マーが家庭教師を紹介。
後にレッドと結ばれる、キティ役ベッツィ・パーマーがいい演技。後年の老けメイクでも美しさを隠しきれない♪
愛息レッドジュニア(ロバート・フランシス)も、マー夫妻の実子の様に見守る姿も熱い♪♪

あとマーが最初に士官学校の皿洗いで採用される頃の仲間ルドルフ・ハインツ伍長役にTVシリーズ『スパイ大作戦』のピーター・グレイブス‼️まだまだ若造です。



↓ 以下ネタバレ含む

・士官学校での生徒たちへの授業、生徒の悩みの相談、アメフトでの対外試合、マーの妻、父親たち家族とのエピソードなど盛りだくさん♪♪♪

・そして第一次世界大戦に米国が参戦し、教え子たちも出征していくが、中には戦地で亡くなり帰らない者たちも…
マーがその知らせを受けて卒業アルバムに黒いリボンを挟むシーンは胸が痛む。

・第一次世界大戦の休戦の知らせに、
士官候補生たちが、色々な物を燃やして喜びあうが衛兵小屋も餌食に…
死を意識する軍人でも、戦争の終結は嬉しい知らせ。

・戦闘場面などの描写は無いが、軍隊の指揮官を養成する学校だから当然起こりうる事態。そして、レッドの息子ジュニアも第二次世界大戦に出征していく。

・日本がハワイの真珠湾攻撃の一報が教会の礼拝中に入るシーンは複雑な想い。

・士官学校の教官というと、真っ先に浮かぶのは、『愛と青春旅立ち』のルイス・ゴセットJr.演じる鬼軍曹フォーリーだが、マーは、生徒たちと親身に付き合い愛される兄貴、父親の様な存在だった。

・ラストの“長い灰色の線”と例えられるウェスト・ポイント全員の大分列式に涙腺が緩む‼️

フォード監督作品の佳作でした。


余談
・ウェストポイントでのマー軍曹の教え子で後に米陸軍の将官までなった者は多い。

ダグラス・マッカーサー
ジョセフ・スティルウェル
オマール・ブラッドレー
ジェームズ・ヴァン・フリート
ジョージ・パットン
ドワイト・D・アイゼンハワー

などが特に著名な卒業生。アイクは大統領にも。

・撮影はチャールズ・ロートンJr.
『情婦』の名優チャールズ・ロートンと関係あるのか⁇⁇


【忘備録】
(ウェストポイントの服制)
Wikipediaより
・制服には、いわゆる「肋骨飾り」のついた灰色の上衣と白色のパンツの組み合わせか、灰色の上下(上衣は立襟、前あわせがファスナー)が用いられる。いずれにせよ「灰色」は陸軍士官学校を象徴する色となっており、たとえば、同士官学校を舞台にした1955年のアメリカ映画『長い灰色の線』(原題: The Long Gray Line、監督: ジョン・フォード、出演: タイロン・パワー他)の題名もこれに由来する。


(キャスト)
・マーティ・マー Marty_Maher
(陸軍士官学校教官)
タイロン・パワー

・メアリー・オドンネル Mary_O'Donnell
(マーティの妻)
モーリン・オハラ

・キティ/キャサリン・カーター
Kitty_Carter
(ジェームズの母、戦争未亡人の教師)
ベッツィ・パーマー

・ハーマン・キーラー Captain_Herman_J._Koehler
(少佐、マーティの上官)
ワード・ボンド

・マーティ・マー・シニア Marty's_Father
(マーティの父)
ドナルド・クリスプ

・ジェームズ・N・サンドストローム・ジュニア Red_Junior
ロバート・フランシス 

・チャック/チャールズ・ドットソン
Lieutenant_General_Charles_Dotson
(マーティの教え子、アメフトを諦めて学業に専念)
フィル・ケイリー

・レッド/ジェームズ・ニルソン・サンドストローム Red_Sundstrom
(マーティの教え子でキティの夫、第一次世界大戦で戦死)
ウィリアム・レスリー

・ドワイト・D・アイゼンハワー
Ike_Eisenhower
ハリー・ケリー・ジュニア

・チェルブ/アブナー・オーバートン
Obner_Gray_Overton
パトリック・ウェイン

・ディニー・マーハー Dinny
ショーン・マクローリー

・ルドルフ・ハインツ Corporal_Heinz
(マーティのライバル)
ピーター・グレイブス

・ジョン・パーシング Captain_John_Pershing
(第一次世界大戦時の将軍)
ミルバーン・ストーン

・キーラー婦人
エリン・オブライエン=ムーア

・マイク・シャノン
ウォルター・エーラーズ

・トーマス
ウィリス・ボーシェイ
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