櫻イミト

セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身の櫻イミトのレビュー・感想・評価

3.5
フランケンハイマー監督の「影なき狙撃者」(1962)「五月の七日間」(1964)から連なるパラノイア三部作の最終作。不条理なSFホラー。タイトルバック制作を手掛けたのは「サイコ」(1960)で有名なソール・バス。

人生に倦怠感を持ち始めた初老の銀行員アーサー・ハミルトンは、謎の組織から”今までと違う身体と身分を手に入れて新たな人生を送らないか”という誘いを受ける。。。

タイトルから序盤にかけて畳みかける人物固定ドリー&ローアングルドリーがインパクト大で引き込まれる。中盤のブドウ酒祭りのシーンに既視感があったので、昔に本作を観た事があったかもしれない。後半に展開がやや足踏みするが、演出のテンションは最後まで高く楽しめた。

全体の印象は同じモノクロのSFミステリー番組「トワイライト・ゾーン」(1959~1964)や同年の「ウルトラQ」(1966)を連想。60年代アヴァンギャルドなムードと実存主義的な内容で、ノスタルジーを感じる秀作だった。
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