TAK44マグナム

イップ・マン 葉問のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)
3.9
イップ師匠~~!!

そろそろ宇宙にまで進出しようとしているドニー・イェンが、全力で詠春拳を炸裂させる「イップマン」シリーズ第二作!

日本軍の追手から逃れて香港へと移住したイップマンとその家族は、貧しいながらも親切な新聞編集長などの力を借りて細々と生活していました。
結局のところ武術を教えることしか出来ないイップマンは武館を開いて弟子をとろうとしますが、世の中は不景気の真っ最中ということもあって、そんなにうまくはいかずに悶々とする日々。
やがて血気盛んな一人の若者が弟子入り、順調満帆にいくかと思われた矢先に、どうやら香港では武館を開くには他の武館の師匠たちに挑戦し、腕前を認めさせなければならないことが判明します。
イップマンはこれに挑戦、最強の師匠であるサモ・ハン・キンポーとの戦いは決着がつかず仕舞いでした。
とりあえず武館は開けましたが、そんな折、香港を支配するイギリス人がボクシング大会を開催したことから大変な事態になっちゃいます。
こうなったら師匠の出番じゃないですか!
中国武術の誇りを賭けて、戦え!イップマン!!

前作での悪役は日本軍でしたが、本作では香港を統治するイギリス人であります。
そりゃもう、徹底的にステレオタイプに白人至上主義を振りかざしてきますよ。
前作でも中国武術vs空手という異種格闘技戦が目玉となっておりましたが、今回はvsボクシングなんですね。
イギリスのボクシングチャンピオンが登場するんですけど、これがまた嫌な奴でしてね、崇高なる中国武術を中国式ボクシングなどとディスりまくって、完全に見下してくるわけですよ。
ついには、その横暴で不遜な態度に怒りをおぼえたサモ・ハン・キンポーが「中国武術の神髄をおしえちゃる!」とリングに上がるわけですけど、いかんせん年齢が年齢なものでしてスタミナが続かずに連打を浴びまして。

死んでしまうんですな!

この非道に激怒したイップマンが、ぶち殺したる!と言わんばかりに嫌味ボクサーに挑戦!
国と国のプライドを賭けた一大決戦となってしまうのです!

・・・・・・うん、これって完璧にドニー・イェン版「ロッキー4」じゃんね!
最後に感動的な演説までかましちゃうあたりなんか、なんだかいきなりの展開で置いてけぼりくらった気になるんですけど、「ロッキー4」だと思えば合点がいくというか何というか。

まあ、本作最大のトピックは何といってもドニー・イェンvsサモ・ハン・キンポーというドリームマッチでしょう!
前作では武術指導だけの参加だったサモ・ハン・キンポー・・・つまりはデブゴンですが、今度は俺も暴れまくるぜ~と、まったく衰えることのない格闘アクションを魅せつけてくれちゃいます!
素直に驚かされました。デブゴンすごい!
また、嫌味ボクサーとの死闘も、さすが香港武術映画界の重鎮といった貫禄ある演技を披露、映画のグレードをひとりで上げちゃってますよ!
さすがのドニー・イェンも霞む、見事な存在感!

一方、主役のドニー・イェンもイップマン役が板についたというか、なんだか余裕しゃくしゃくで演じている印象。
たばこやお茶をたしなむ、どこか優雅さを感じさせるその所作が好きですねえ。
勿論、詠春拳も相変わらずスゴイですよ。
前作よりも戦う場面も多くなっているし、アクションに関してかなり充実した内容になっていると思います。

リアルファイトって感じはしませんが、ボクサーとの戦いでは、パンチ一発でイップマンでさえ無様に倒れる姿を描いているのは良いですね。
まがりなりにもチャンピオンのパンチなのですから、武術を極めた師匠でも当たれば死んでもおかしくありません。
なにしろパンチだけで相手を倒すために、ボクサーはひたすら鍛えあげるわけですから・・・
ボクサーの腕って凶器とみなされるので、素手で喧嘩しても武装していたことになるんですよね、確か。
かつて、アントニオ猪木がモハメド・アリと戦った時も、パンチを避けるために仕方なく寝っ転がってキックするしかなかったわけで、あれだけ首も鍛えるプロレスラーでさえ恐ろしいのがボクサーのパンチなのです!

そんなこんなで、イギリス人側の策略でキックを封印されてからの逆転劇は燃えましたね!
劇中の観客たち同様、「頑張れ、イップ師匠!!」と応援しちゃいましたよ!
卑怯な相手に正々堂々と己の技のみで勝利する!
イップマンの神々しい姿に、イギリス人たちもが総立ちで拍手喝采です!
「ロッキー4」でも同じでしたけど、やっぱり問答無用でこういうのは気持ちが上がりますねえ!

そうそう、前作から引き続いてルイス・ファン演じるカム師匠も出てくるんですけど、あれだけ悪党だったのに改心したらしく、本作ではコメディリリーフになってて驚きました(苦笑)
ルイス・ファンって、日本原作スプラッターアクションの怪作「RIKI-OH/力王」で主人公の力王役だった人ですが、だいぶイメージが変わって味がある役者さんになりましたねえ。

また、最後の最後に「あの人(の少年時代)」が特別に出てくるんですけど、鼻の頭を指でピッとやる得意のポーズまで子役に真似させて、いささかサービス過剰だなと思いました(苦笑)
この節操のなさこそが香港映画の神髄なんですが。

因みにこのシリーズ、本国では大ヒットかましておりまして、日本でも3作目が公開予定です。
3作目は3D映画として製作されたらしいのですが、日本では3D上映あるんでしょうかね・・・?
多分、ないかな~(汗)?
中華圏では3D映画が大人気なので、いかにもな立体の見栄えの良さが期待できるんですけどね。

で、今度はマイク・タイソンと戦うってマジですか??
イップ師匠の耳がかじられるというのか!
乞うご期待!!


huluにて