ゆず

イップ・マン 葉問のゆずのレビュー・感想・評価

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)
3.9
イギリス統治下の香港が舞台。新たな土地での生活を始めたイップ・マンと香港の武館の師匠たちとの確執、弟子たちが起こすトラブル、10年経ったとは思えない妻の美貌、そして中国人の誇りについて。

前半は同じ中国人武術家同士の対立が描かれる。武館を開くなら他の師匠たちと闘い、その実力を認めさせなければならない。
円卓の上で対峙するドニー・イェンとサモ・ハン・キンポー。壊れそうで壊れない卓が最強!
武館に弟子が集まっても優しいイップ師匠は指導料を回収できなかったり、弟子たちが起こした喧嘩の仲裁をしたり、相変わらずの苦労人。(というか、イップ家が貧しい暮らしを余儀なくされてるのって、元はと言えば前作の日中戦争で日本軍がイップ・マンの屋敷を接収したせいだった…)

後半はイギリス人ボクサーとの国の誇りをかけた闘い。
警察のトップもイギリス人であり、なかなかの横暴ぶりで敵愾心が煽られる。彼ら白人には、自分たちのルールを押し付けようとする傲慢さを感じた。帝国主義ってやつだろうか?
この辺りは前作の対日本軍の構図と通ずるものがある。敵を外に作ることで、最初仲の悪かった中国人同士が結束する。そういえば前作登場の悪漢カム・サンチャウも、本作ではイップ師匠を昔から知る味方として出てきてた。
人間の愚かで感情的な面を描きつつも、心の強さ美しさも同時に描くから、人間味溢れるキャラクターが生まれるのかもしれない。サモハンの演じたホン師匠も、完璧ではないけれど、己の過ちに気づける人間で、そこがやはり魅力的である。

ちなみに2作目の本作の方が、1作目よりも早く日本で一般公開されたようだ。それで、まるで1作目のようなややこしいタイトルになってるのかと納得した。
ゆず

ゆず