“ジョージ・A・ロメロのどこがマイナーだっ!”
2010年代もおよそ1年半で終わってしまうわけだが、振り替えってみてベスト邦画を5本選ぶとすれば間違いなく本作は入るだろう。
この“大事なことをあえてセリフに出して言わない感じ”こそが映画の醍醐味。緻密な人物描写や、観ていて苦しくなるほどリアルな校内ヒエラルキーの様など、どこをとっても完璧の一言。
初めて観た当時は全く知らなかったが、やはり松岡茉優の存在は圧倒的!頭ひとつ抜けてる。その他にも今では実現し得ない豪華キャスト。当時15歳とは思えない橋本愛の完成された美少女ぶりにもビビる。
原作では神木隆之介演じる主人公ら映画部は“キネマ旬報読者”という設定になっているが、映画では“映画秘宝読者”になっていてそこら辺の吉田大八監督の原作からの改編も流石の一言。
スポーツも出来て、勉強も出来て、セックスも経験して…でもそれらすべてをなし得たからといって何になるのか…と虚無感に襲われている東出昌大演じる宏樹の物語なんだな実はこれは。一見まだ何もなし得ていないように見える神木隆之介演じる前田の方が精一杯今を生きている。
ストレートに面白いエンターテイメント映画とは違うが、思考を促され心に強く響く名作だと思います。