こたつむり

ローマの休日のこたつむりのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.7
映画界に燦然と輝く名作。
360度、どの方向からも貶す部分無し。完璧。

お恥ずかしい話ですが。
約十年前に、本作を観ずにローマに行きました。
何故、そんな愚鈍なことをしたのでしょうか。何故、『ジョジョの奇妙な冒険』第二部と第五部は読み返したのに、本作を鑑賞しなかったのでしょうか。もうね。こんな愚図は死んでしまえ、と豆腐の角に頭をぶつけるべきですね。勉強と映画の予習は大嫌いな僕ですが、旅行の予習は万全にしておくべきでした。

と、過去の選択を悔やむくらいに。
恋愛物への最大の賛辞である「この物語の中で暮らしたい」と思うほどに。完全に惹き込まれましたよ。というか、ローマの街角で彼女と石畳の上を歩いたり、アイスを食べたり、ウィンドウショッピングしたいです!暮らしたいです!あー。なんで。なんで。あのとき、本作を鑑賞していかなかったのだ!この愚図めが!

…まあ、それでも自己弁護をしますと。
不朽の名作と評されていますからね。お堅い物語だと勝手に思っていたのです。でも、実際に観てみると、コメディ寄りの演出が多くて。そう。序盤の王女様が登場するところから口角が上がる展開。うん。巧みな構成ですよね。王女様との距離感がグッと近付いた感じがして、物語に抵抗無く導かれるのですな。

しかしながら、僕は愚図でありますからね。
なんと、今回、自宅で鑑賞している際に“諸事情で一時中断する”という愚かな展開を招いてしまったのですね。ホントに愚図です。跪いて天に裁きを委ねたいほどに愚図です。でも。でもでも。そのお陰で気付けたことがあるのですよ。中断している間に抱いた想い。胸の奥が、つんと痛くなる気持ち。それは「早く観たい。早くスクリーンの彼女に逢いたい」ということ。

そう。たぶん。これは。恋。
いつしか、僕は彼女に恋をしていたのです。

だからね。観ているときは完全にミーハーでした。
彼女の素性が判ったあとのグレゴリー・ペックの対応とかね。心の中で「お姫様抱っこキター!」と叫んでいましたしね。顔もきっとニヤニヤしていたと思います。

う。
調子に乗って要らないことまで書き過ぎました。
想像すると色々と気持ち悪い話ですね。グロ注意です。お食事中だったらゴメンナサイ。

まあ、そんなわけで。
最高級に胸が疼く素敵な作品でありました。これが60年以上前から存在するなんてラブコメ業界も大変ですね。本作を越える作品を作るのは尋常ではないと思いますよ。
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