このレビューはネタバレを含みます
小説「わたしが・棄てた・女」の映画をアマプラで発見し、鑑賞。
遠藤周作原作からしてもミツのお葬式からして、カトリックが付きもの。
ミツはカトリックに則った無償の愛で周りの人々を愛し続け、誰に対しても優しくあり続けた。
対して、吉岡は打算的な考えのもと、仮面を被ったような愛を優先し、ミツを捨てる選択をした。
この2人の対照的なところが面白い。
ミツは悲しい結末とも言えるけど、残る吉岡の方がこれから辛いんじゃないかと妄想が膨らむ。
吉岡にとってミツは、優しさに溢れた無償の愛を与え続けてくれた人。田舎臭さが抜けずなんだか嫌悪感もあったはずなのに、何故だか時折思い出しては会いたくなる存在。愛しているからこそ、ミツは関係を終わらせ、吉岡は物足りなさを感じたまま、ミツは亡くなる。
亡くなった後吉岡が思い出すミツは、優しさしかない。
一方、結婚相手のマリコとはこれから共同生活を続けていく。
安定がやってくれば情熱は冷める。(遠藤周作の別本に記載されてた)
そうなると、よりミツを思い出し苦しむことになりそう。
まぁ、死ぬまで苦しむが良い!という感想なんだけどね。
マリコとミツの対比も面白い。
キャストもすごくいい!!
マリコは吉岡がミツに宛てた手紙を読んで、傷付き、裏切られたと嫉妬に狂う。
「信頼」という前提のもと恋愛は成り立ち、それが壊れた時に恋愛も壊れていく。人間は弱い生き物という話を遠藤周作は別本で述べてたが、まさにその一例を挙げたよう。
それに対して、ミツは裏切られても無償の愛を捧げ続ける。てことは、恋愛を超越してるってことだよね...すごいよミツさん...
でも、吉岡の気持ちも分からんではない。
だってとりあえず付き合ってみた人が居たとしても、そこにいいところの坊っちゃんイケメンが自分を好いてくれたら、ついていっちゃうよね。
「人にぶら下がれたら誰だって逃げるさ。」...これが人間よねぇ。本当弱い生き物。
マリコと吉岡の弱い心さえも、ミツはすべて受け止めて、亡くなって行ったのかな。
切ないよ...。
個人的に原作も好きだし、映画版もちょっと違うところもありながら満足!!