スカポンタンバイク

Kids Return キッズ・リターンのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)
5.0
「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」
「馬鹿野郎、まだ始まっちゃいねえよ!」

これは、傑作。
それぞれの立場のキッズたちの人生の一巡を描いた青春映画。それは青春を描きながらも、社会の縮図を表現している。そしてそれは、学校であろうと、ボクサーであろうと、平社員だろうと、タクシー運転手だろうと、ヤクザであろうと、大した違いはないという残酷で滑稽な現実を映している。全てはある一定のサイクルの中で循環しており、その原動力は常に若く新鮮なエネルギーであり、搾り取るだけ絞り取ったら用済み。そんな世界の中で、生きるとはどういう事なのか。
本作の素晴らしい所は、それぞれの生き方を良し悪しで寄りわけない所。観る人によって、生き方が違うだけ、それぞれのキャラクターの人生の見え方が変わる。
何よりその人生には、始まりも終わりもない。映画は綺麗に一巡して終わるが、終わった後だって、どこまでも続いていく。その先が幸か不幸かも分からないけれど、キッズがリターンし続ける限り、自転車の走る場所は常に無限の可能性と楽しさが広がっていくと感じさせてくれる。本当に素晴らしかった。

松本大洋の漫画とか好きな人には是非勧めたい。というか観終わってすぐ勧めた。w