一口バウムクーヘン

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離の一口バウムクーヘンのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ウィーン行きの電車で出会った男女のワンナイトラブ。

裕福な両親に愛されて育ったセリーヌと、疎まれ愛を知らず離婚した両親によって育てられたジェシー。

恵まれた環境で育ちながらも、何か得体の知れないものに対しての敵対心を持つセリーヌ。愛されなかったことを、逆に誇りに思い「招かれていないパーティに押しかけている気分さ」と言ってのけるジェシー。

死を待つだけの老婆の気分と語るセリーヌと、大人になれない学芸会のリハーサルを続けている少年のようだと語るジェシー。

似ても似つかない対照的な2人なのにも関わらず、時間を経るにつれて2人の関係は深まっていく。

365日、1日に1人ずつ知らない人を密着するというTVの企画を語ったジェシー。その企画のように、大きな事件が起きるわけでもなく、淡々と素敵な時間を過ごしていく2人を眺めるような映画。エキストラにもフォーカスがいくように作られてるのもそのためなのかな?

個人的に面白かったのは、30年前の映画なのに、2人がとても現代的なキャラクターをしていたこと。特にセリーヌ。2人とも多角的で物凄くリアリティのあるキャラクターになっていた。

夜のウィーンを舞台に、2人のシリアスでありながらコミカルな会話も面白くて、とても素敵な映画だった思う。