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絶対ないなって思う設定をいやいややっぱりありそうだなと思えるまでに気持ちを押し上げ、恋愛って出会いってこんなんだったかなと懐かしくもなり、また夢みてしまう、純粋な頃の気持ちが呼び起こされる。
パリ行きの列車の中でケンカを始める老夫婦。
そのケンカがきっかけでアメリカ人の青年ジェシーと、席を移動したフランス人女性セリーヌは出会う。
2人はケンカを続ける老夫婦から逃れ、食堂車へいき、会話をしているうちに意気投合。
ウィーンで降りるジェシーに誘われたセリーヌは、途中下車することにする。
あの時、老夫婦がケンカをしなかったら、セリーヌが席を移動しなかったら、セリーヌがウィーンで降りなかったら、、、もう2度と会うこともなかっただろう。
そう考えれば確かにこの出会いも運命的といえる。
角度を変えれば軽いような気もしなくはないけど、2人の雰囲気がそんな空気をかき消す。
タイムリミットは夜明けまでという中でお互いのことを知り、近づく距離にドキドキし、ちょっとした言い合いもし、、、恋愛初期のエピソードを全て含んだのではないかと思うほど濃密な時間を過ごす2人。
音楽の都ウィーンなだけに街並みは美しく素敵なんだけど、その景色よりも2人に目がいってしまう。
交差する目線や、じわじわ狭まる距離の持っていき方は絶妙。
いつまでも喋っていられるってやっぱりかなり気は合うってことなんだろうな。
それが必ずしも恋愛となるかどうかは少し疑問ではあるけど、初対面ですでに好意を持っていたんだから、きっとそれは恋なんだろう。
話の尽きない2人は爆発的なエピソードが起きたときと変わらないくらい、昂る心や自制する心、、、と平凡にみえても内での心の波はかなり激しく揺れ動く。
ちょっと美しくえがきすぎかなと思う所も多々あるけど、ラストまで一気に楽しめた。
この時代の恋愛のいいとこがギュッと詰まったような感じ♪
でもウィーンっていろんな商売あるな~(笑)