恋という非日常と、映画という非日常のシンクロ。
リアリティを際立たせる為の日常描写。
ありそうでない、なさそうであるというバランスを行き来しながら、この世には男と女しかいない、という小は大は同じ構造を持っている、と深読みさせてくれる映画。
アメリカ的な風土と価値観に同調と違和感を感じるイーサン・ホークも、同じようにフランス的な同調と違和感を同様に抱えるジュリー・デルピー。
互いのアイデンティティの調和と差異の中で、はにかみながら、あるいは目の前にチラつく悲しみを回避する為に斜に構えてみたりする。
まさに恋の始まりと未来への妄想。
からの現実の着地。
若い奴ってそうなんだ。あんなに親切でいい奴っぽい連中に招待券をもらった「牛の演劇」に行くのをすっかり忘れてたり、ワインを差し入れてくれたのにグラスまで盗んだり。
全くもって、2人だけの世界。
映画はここで終わり。終わったはずが、続いていってしまうことも含めてこれらの浮かれっぷりがまた、深い。