ピッツア橋本

地獄変のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

地獄変(1969年製作の映画)
4.4
"この世の地獄を描く変わり者"

平安時代。とは名ばかりで藤原の大殿(中村錦之助)の悪政によって乱世の気配立ち込める中、宮廷画家の良秀(仲代達也)は娘の良香と我が弟子の恋仲を引き裂く。その後、大殿が良香を気に入って強引に妾にし、良英に対し「娘を返してほしくば地獄絵を描いてみよ」という。
良英は完全写実主義で、実際に目にしたものしか描けない。そこで良英は地獄を描くために数々のとんでもない行動に打って出る…

というのが原作小説、芥川龍之介『地獄変』と同様のあらすじである。

原作は特に台詞なく地の文で構成されている為、あえて劇的な台詞回し、ファンタジー寄りの舞台装置や演出が本作では際立って感じる。
中村錦之助と仲代達也の迫力ある演技に引っ張られる感じでメロドラマ、劇的に感じる。一流の歌舞伎役者と舞台役者が対峙するとやはりそうなるよね!
これは芥川文学の読後感とは対照的な印象。

クライマックスの火車のディティールも原作とやや違い、映画映えする段取りを選択している気がする。

そこまで尺は長くないが山賊(野党)たちが館に奇襲してくるシーンが実に興味深い。
武器や仮面をつけての叛逆感が好き。

あと高麗(韓国)の血筋との微妙な関係性も勉強になった。
にしても良香はあまりに非業😭

中々視聴困難な作品ですが、時代物が好きな人には十分に見る価値はあると思います。
ちなみに自分は海外版DVDをイギリスからお取り寄せ、PCで鑑賞したらリージョンコードの壁は何とかパスできました。
ピッツア橋本

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