"期待はします。いつでも"
元財務省の父を持つ女子高生が商店街ひいては日本を元気にするべく、周囲の同級生や大人たちに日本の政治経済の真実と在り方を説き、論破しまくっていく痛快社会派青春ドラマ。
この映画の核である"国債なんて借金じゃない。国債を刷ればいいだけなんだから"というメッセージはテレビでしか情報を得ないほとんどの国民にとっては衝撃だし、そういえば事あるごとに周囲の賢そうな大人達が呟いていたのを思い出す。
本作の制作期間から推測するにロシアウクライナ戦争による物価高になる前の話なので、よりこのデフレの深刻さに拍車をかけた格好となっている。
デフレスパイラルが20年以上続くこの国で増税は無意味だ!インフレギリギリまで国債発行して金を撒きまくれ!
というのが本作が伝えたい日本経済復活への解決策なんだろう。
作中で言ってたとおり、橋本龍太郎の増税は間違いだった発言の真意はこう言う事だったのかとすごく勉強になる。
ただ主人公の女子高生の初々しい正義感だけじゃなくて、もっと成熟して日本を大きく舵を切れるカリスマが必要なんだろうなと思った。
確信犯的に日本の島国根性を根底からぶっこ抜くようなカリスマが。
この映画の主人公みたいな候補者がマニフェストを掲げて日本の未来を変えようとする政治選挙に投票しにいきたいものだ。
欲を言うと本当に描いて欲しかったのは"あの後の"武藤議員の行く末だ。
群衆の為にヒーローになった代償に彼はやはり群れをはぐれる事になるのか。
この映画の情報量、メッセージ自体はすごいし情熱的でとても勉強になるのだが、
彼らのその後を想像すると長く仄暗いトンネルはまだまだ続いていくんだよなあと少し憂いた気持ちになった。
いずれにしても、「日本終わってる」とついつい口に出しちゃう人は、本作を観てどう終わっているのか、停滞しているのかを知ってほしい。
一人でも多くの人にこの内容が伝わればいい。
そう思える映画でした。