逃げるし恥だし役立たず

キラー・エリートの逃げるし恥だし役立たずのレビュー・感想・評価

キラー・エリート(2011年製作の映画)
3.5
石油高騰や戦争や陰謀の1980年、ダニー(ジェイソン・ステイサム)が殺し屋稼業を引退後、かつての相棒が窮状に陥ったことから危険な暗殺の任務を引き受け、非情なSASを相手に決死の闘いを繰り広げるアクション・サスペンス。ジェイソン・ステイサムとクライヴ・オーウェンとロバート・デ・ニーロの三人の実力派俳優が豪華共演、エベレスト登頂に成功したこともある元SAS(Special Air Service=英国陸軍特殊空挺部隊)隊員のラヌルフ・ファインズによるベストセラー小説を映画化。
殺し屋稼業から足を洗ったダニー(ジェイソン・ステイサム)は師であり相棒でもあったハンター(ロバート・デ・ニーロ)が失敗したオマーン首長の息子三人を殺した国家レベルの秘密結社「フェザー・メン」に守られた元SASの兵士達三人への報復という依頼を引継ぎ、昔の仲間デイビス(ドミニク・パーセル)やマイアー(エイダン・ヤング)と共にオマーンや英国でSASの元リーダーであるスパイク(クライヴ・オーウェン)達との死闘を繰り広げるストーリー。ジェイソン・ステイサム印のザ・プロフェッショナル的なアクション映画の既視感アリアリの展開で、相手が誰であろうが椅子に縛られていようが相変わらず無敵すぎて草である。自ら事件に関わった原作者の分身である元SAS隊員役のクライヴ・オーウェンやジェイソン・ステイサムの裏に回ったロバート・デ・ニーロなどの配役、報復相手の自白の録画と事故に見せかけて殺すと云う二つの条件縛り、激しいカーチェイスや銃撃戦やビルからのジャンプなどのアクション、アタッシュケースの大金を巡るラストなど、原作は物議をかもした英政府の暴露本とも云うべき「ザ・フェザーメン」(ラヌルフ・ファインズ著1991年刊)の史実からだが普通にエンタメとして楽しめる。不満点は、中東族長家の争いや亡命中の長老や四男の思惑・石油利権を狙った英国政府やフェザーメンやSAS・代理人(アデウェール・アキノエ・アグバジェ)などの人物と組織が多すぎる為に散漫で似た顔が多くて混乱する処、恋人アン・フレーザー(イヴォンヌ・ストラホフスキー)も余計で、ロバート・デ・ニーロや仲間の曲者二人をお供にSASのプロたちと壮絶に殺し合うかと思えば十数人程しか殺さないと云う、随分と義理と人情に厚い殺し屋エリートでアクションとしては些か肩透かしな処だろう。
仲間もSASも含めて誰も変装しないためバレバレ…まあジェイソン・ステイサムに限ってはハゲ頭の方が精悍さが醸し出されるためカツラを被られてもイマイチなのだが…