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聖なる酔っぱらいの伝説のtakのレビュー・感想・評価

聖なる酔っぱらいの伝説(1988年製作の映画)
4.0
「木靴の樹」のエルマンノ・オルミ監督による不思議な魅力の作品。主人公アンドレアスは、セーヌ川にかかる橋の下です暮らすホームレス。ある日老人から200フランを渡されるのだが、条件は教会のミサの後で金を返すこと。それから彼の身に幸せな出来事が続く。約束した日曜日に教会に行くと、かつて愛した女性と再会。約束を破ってしまう。

それからも幸運な出来事が続くのだが、その度ごとに酒に費やしてしまったり、旧友と飲み歩いたり。夢に出て来た聖テレーズ像に似た少女に「なぜ返さない」と問われるが、それでもなりゆきの出来事に流されて彼は返済の約束を果たせない。すると、その少女が彼の前に現れ…。

映画自体は淡々と進行していく。ルトガー・ハウアー演ずる主人公が、なすべきことを終わらせない様子にヤキモキするのだが、次々に訪れる出来事の面白さと、美しい映像で、童話を読み聞かせられているような気持ちになった。「ブレードランナー」のイメージがどうしても強いハウアーだが、彼の演技の幅広さがわかる良作。

そしてほろ苦い結末が待っている。それは寓話のようでもあり、おとぎ話のようでもあり。20代の頃観てるので、人生いろんなことに流されてきた今の自分が観たら、この映画も印象が変わるだろうか。改めて観なおしたい映画の一つ。
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