すずき

ケーブル・ガイのすずきのレビュー・感想・評価

ケーブル・ガイ(1996年製作の映画)
3.1
同棲していた恋人に追い出されたスティーブン。
引っ越し先でTVを配置しようと、配線工事屋(ケーブルガイ)を呼ぶ。
時間を遅刻して現れたのは、チップという変わった男。
常に冗談を言い、妙に馴れ馴れしいその男は、友達になろう、とスティーブに言う。
彼の提案を受け入れたスティーブだが、その翌日からチップが日常生活のそこかしこに顔を出す様になる…

監督ベン・スティラー、ジム・キャリー主演、その他コメディ映画関係者によるサイコサスペンス映画。

異性での愛情が拗れてストーカーになるお話はよくあるけど、同性の、それも友情から来るストーカー映画は鑑賞初めてかも。
男同士の友人関係って、女同士の関係と違って、そんなにベタベタせずに少し距離感ある関係なのよね(私個人の価値観です)。
でも、その距離感がおかしい奴って、たまにいるのよ。
打ち解けていないのに、やたらオープンで馴れ馴れしく、コッチが求めていないのに、やたら一緒にいようとする。
しまいにゃ、「飯に行こう」→私「じゃあアイツも呼ぼう」→「2人じゃ嫌なのか!最近冷たいぞ!俺達親友だろ!?」なんて言う始末。
言葉は悪いけど、女々しい!いや、ホモホモしくてキショい!
そんな同性愛的な友情関係の、気持ち悪い所を濃縮したような本作のジム・キャリーです。

映画中盤までは、ドギツいキャラの変人に振り回されるブラックコメディのような展開。
だがコメディのシチュエーションをやりつつ、ギャグが空回ってるチップを、主人公と同じように引いた目で見てしまう、コメディとは真逆の居心地の悪さ。
ギャグとホラーは紙一重、を地で行く作り。
だが、ハッキリ言って後半までタルかったなぁ…。

そして後半からは、チップとの友情は拗れ、暴走して一気に主人公は追い詰められていく。
追い詰められ系サスペンスの鉄板だけど、主人公の周囲の人達に取り入ったり、主人公を悪人に仕立て上げたりで、孤立させていくのはキツい!

母親にネグレクトされて幼い頃からTVと共に過ごし、TVの物真似でしか会話が出来ない男、ケーブルガイ。
彼は何者だったのか、その本名はラストでも分からない。
名前が分からないとは即ち、その正体が分からないと言う事であり、TVの象徴である彼はもしかしたら人間ですらないのかもしれない。
私の家にもTVも無いし、NHKとも契約してないのでケーブルガイが現れる心配は無い。
だがTVの影響力が落ちているこのご時世に、逆に影響力を増している「ネットワークガイ」が現れるかもしれない…。