はぐれ

ヘッドライトのはぐれのレビュー・感想・評価

ヘッドライト(1955年製作の映画)
3.9
監督アンリ・ヴェルヌイユ、主演ジャン・ギャバンの古典。しがない妻子持ちのトラック運転手が親子ほど歳の離れたウェイターを妊娠させる話。

辛い、あまりにも辛すぎる。恋愛の甘い時間なんてほんの一瞬しかない。あとはただただ忍耐の時間が惰性で続くだけ。
「これは愛じゃなくて習慣なのよ」。なんて辛辣で的確な台詞なんだろう。まるでイタリアン・ネオリアリズムを見ているかのようなジメジメとした肌感と閉塞感。

主演の2人だけじゃなく脇役も魅力的。年下の彼氏を娘に獲られたくなくて頑なに同居を拒む無責任な母親。最初は守銭奴にしか見えなかったがヒロインが妊娠をしたと知ると一転親身になってくれるラブホの女将。このフランス人特有の恋愛観と人生観が脇役によって見事に浮き出る。

視界の不明瞭な濃霧の中を愛する人を載せて長距離ドライブ。人生だなー😌
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