マヒロ

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャーのマヒロのレビュー・感想・評価

4.0
第二次大戦中、ひ弱な体質から兵士に志願しては却下されを繰り返していたスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)だったが、その正義と調和を重んじる心を見込まれて超人血清を用いたスーパーソルジャー計画の実験台となり、世界初のスーパーヒーロー「キャプテン・アメリカ」となる……というお話。

再見。MCUフェーズ1の作品はいまいちパッとしない……というイメージがあったんだけど、昔観た印象よりずっと面白かった。『ウィンターソルジャー』以前のキャップは「良いやつだけどヒーローとしての強さはショボい」みたいな風潮があって、変なバイアスがかかってたのかもしれない。後のシリーズを観てキャラクターへの理解が深まったからというのもあるかもだけど。

ヒーローものの一作目はその誕生に至るまでのオリジンをいかに面白く描くかがカギだと思うんだけど、まず病弱だが正義感は人一倍ある男が血清の力でムキムキマッチョマンになるところまでをサックリ描き、ヒーローの肉体を手にした上で客寄せパンダのプロパガンダとして扱われてしまう苦悩、そして一か八かの救出作戦で本当のスーパーヒーローに……という流れがスムーズで良かった。超人血清を打つ前、CG合成されたほっそりクリスエヴァンスのなんとも所在なさげな存在感も色んな意味で面白い。
カーターとのロマンスも湿っぽすぎず絶妙な塩梅で、彼女との果たせなかった約束が『エンドゲーム』で効いてくるという長い伏線は脚本家コンビが同じ故の仕掛けだが、この作品単体で見た切なさも良い。
ラストは『アベンジャーズ』に繋げるために、現代まで凍結状態にあったという展開になるんだけど、自己犠牲で世界を救ったと思って目覚めたら数十年後の世界で周りには知り合いゼロという絶望感が気の利いたSF小説のオチみたいで、一作品として綺麗にまとまった感じがした。

ヴィランであるレッドスカルとの決着の付け方の微妙さなど、少々派手さに欠けるところはあるが、手探り状態になりがちな一作目にしては堅実な面白さのある作品だった。

(2021.123)
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