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女と味噌汁の一のレビュー・感想・評価

女と味噌汁(1968年製作の映画)
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100分に満たない尺の中にいくつものエピソードを詰め込んだ高密度の井手俊郎脚本を淀みないテンポで愉快に語り通すゴショヘイ最後の劇場公開作。笑った笑った。当然ロクな男ではない川崎敬三に幼馴染の邦衛&佐藤慶、寄せては返すダメ男たちに少しだけ後ろ髪を引かれながら、気っ風と要領の良さで女生きてます池内淳子に惚れ惚れする。サトケイのニヒルな視線の先でカーラジオの音楽に乗せて小桃ちゃん(長山藍子)と小せんちゃん(石井富子)がダンスする浜辺のロングショットがシーン自体は何でもないんだけど素晴らしく忘れがたい。市原悦子も山岡久乃も木村俊恵も助演陣はみんなイイ。五所監督は東宝争議で首になってから二十年ぶりに“古戦場”に帰ってきてダビング室を使ったときには「生きていてよかった、ここまで生きられた、と」感慨無量だったという。
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