彦次郎

殺人狂時代の彦次郎のレビュー・感想・評価

殺人狂時代(1967年製作の映画)
4.1
瓶底眼鏡のマザコン大学講師が人口調節審議会なる殺人組織から命を狙われるサスペンスアクション。原作は都筑道夫。公開後にすぐにお蔵入りされて後にカルト的人気になったとのこと。
冴えない男が偶然でピンチを凌いでいきますが鋭い観察力や洞察力が伏線に繋がります。荒唐無稽な人物ですが演じた仲代氏の演技力により独特な味わいのある何とも存在感のある主人公となっています。
対する殺人組織の頭目が精神病院院長という設定は「カリガリ博士」を想起させますが今作の方が冷酷非情ながら人を喰ったようなセンスのある怪人物です。これは演じた天本英世氏の演技力あってのものでしょう。
テンポの良い展開に加えて、主人公に惚れる女記者、車泥のチンピラといった仲間や差し向けられる刺客たちもユニークな連中で飽きさせない作りとなっています。
白画面に白字幕の読みづらさが残念な点。
鑑賞者に解釈を委ねるラストも含めて娯楽映画としては傑作だと思います。
彦次郎

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