9人の高校生たちの愛と友情、眩いばかりに輝いた青春の煌めきと儚さを描いた作品。1990年代の台湾の状況が色濃く反映されている青春群像劇。どこの国でも同じような年代が抱える葛藤や不安は同じなんだなと思った。
高校3年生のタンは親友のイェンを筆頭とした学年もバラバラの7人でいつもつるんでいた。彼らは騒動を起こしては教官室に呼び出されるトラブルメーカーだった。悪いことも楽しそうにする7人で友情は永遠に続くものだと思っていたが、ある事件を境にだんだん7人の心はすれ違ってしまう…
喫煙や飲酒をしたり、盗んだバイクを走らせたり、深夜のプールで素っ裸になって遊んだり、野球の応援に出掛けて球場で騒いだりと何をやるにも一緒で悪いことばかりをしている7人。ちょっとしたくだらない事もめちゃくちゃ楽しそう。グループでバカやる高揚感や周囲への優越感が快感だったんでしょうね。前半は7人の姿が活き活きと描かれていた。有り余るエネルギーの矛先をどこに向けて良いのか分からない爆発力が垣間見れる。後半では未成熟さが招く取り返しのつかない出来事に対して、どうする事もできない壁にぶつかり自分の無力さに気付く情けなさがひしひしと伝わってきた。
九降風とは、9月に吹く季節風のことで、この季節風が吹く季節はちょうど卒業と入学のシーズンにあたり、日本でいう桜のような新たな旅立ちと別れの代名詞とのこと。
ほろ苦くも爽やかな気持ちになれる作品。